稲福孝信 | INAFUKU Takanobu
1984年生まれ.多摩美術大学大学院デザイン専攻情報デザイン領域修了.アーティスト/プログラマー.コンピューター周辺のものを素材に作品制作を行う.主な展覧会に「NO MAP」 (2007年 BankART 1929/BankART Studio NYK)「IDD TAMACOM‘09」(2009年 Bank ART Studio NYK)などがある.http://inafact.net/
■(a)(b)
今回の規定を聞いた際に初めに思い浮かんだのがAA(ascii art。以下AA。ここでは主にテキストアート全般とします)でした。おそらく今日のwwwで上で可能な「表現」の中でも最も原始的な部類であると同時に、通信量や文章の要素という観点からすれば「人が意図して作り出した余剰」の最古のものではないでしょうか。 AAと呼べそうなものの歴史は意外に古く、www以前、タイプライターの時代にまでさかのぼることが可能です。www上での感情表現や軽い遊びとしてそれらは導入されながらも、視覚表現における制限が多かった時代にはヴィジュアルデザインとしての重要な役割を担っていたこともあるそうです。多くのテクノロジーが導入され、技術的制限がなくなった現在もAAは生き残り、メールやブログのコメント文末に見れる顔文字などの日常的なものから、日本の2ch上や海外の一部においては「職人」と呼ばれるような複雑なAAを創作する人が出てくるなど、むしろ多様化し、(「芸術」としてそれらが認知されているかどうかは別として)ジャンルとして確立したとさえ言えます。
web2.0などと言われていた時期もとうに通り過ぎ、生真面目に追っていっては追いきれないほどの情報量がwww上には存在し、ウェブの技術開発やコンテンツの作成過程においても、Ajax、コンテンツのマッシュアップといった既存のリソースをいかに組み合わせて新しい利用方法を編み出すか、どのようにして有用な情報の取捨選択を行うか、といったことが重用視されています。 こういった背景の中でのAAに対するアプローチとして、AAを文字表記によるヴィジュアルパターンとして捉え、既存のリソースから編む/結合する/削るといったプロセスを踏襲し、その中からヴィジュアルパターンを見つけだすという態度をとりました。 いわゆるリッチコンテンツと呼ばれるようなflashやjs・cssを用いた正統で直接的なヴィジュアル表現ではなく、既にあるハイパーテキストの構造の中から新たなイメージをすくいあげるという行為は、想像力に働きかけるという意味でのイメージの創出としてはより的を得ているような気もするのです。
■(c)
本作品はスクレイピング、スパイダリングと呼ばれるような技術を用いることで、web上の既存のコンテンツを自動的(あるいは作者の恣意的)に取得しそれらのソースをいくつかのアルゴリズムと作者の美的観点により加工/結合することで「ヴィジュアルパターンとしての」webページを再表出させるものです。
(a).作品のコンセプトやねらい.
(b). 規定(1:webを展示空間とするのではなく,素材として用いること.2:単なるwebツール/webサービス(道具)を作らないこと.目的のない,且つ合目的な道具を作る.)をどのように解釈し,アプローチしたのか.
(c). 作品の仕組みや動作,また鑑賞する際に操作が必要な場合はその操作方法.
